6月16日(日)、株式会社comcept(コンセプト)のCEO/コンセプターである稲船敬二氏による特別講義が開催されました。稲船氏は株式会社カプコンに入社後、「ロックマン」「バイオハザード2」「ロスト プラネット」「デッドライジング」シリーズなど世界を舞台にミリオンセラーを連発し、2006年に常務執行役員に就任。そして2010年独立し、現在は株式会社comceptを立ち上げ、「SOUL SACRIFICE(ソウル・サクリファイス)」「おっさん☆たまご」など様々なクリエイティブな活動を行っている大物ゲームクリエイターです。
今回はゲーム業界を目指している学生に向けて、歴史や現状を踏まえながら、今後の展望を一緒に考えていくというコンセプトのもとに90分間アドバイスを頂きました。内容は大きく分けて4つの分野に分かれました。
まず一つ目は、ゲーム市場が非常にグローバルになっているということ。昔は日本がゲーム大国であったが、今は海外に押されているのが現状です。今後は世界で勝てるゲームを制作していかなければならないのが課題となっています。そのためには海外の文化に対して、常に興味・好奇心のかたまりであることが必要です。
次に二つ目は、「0から1を生み出す」人になろうということ。誰かがきっかけを与えると、いいものを作る「1から10を生み出す」人はたくさんいるが、日本には「0から1を生み出す」人がほとんどいない。しかしゲーム業界をリードしていくために「0から1を生み出す」人になることが大切。そのためには「積極性」を学校で学ぶことが大事。とにかく自分から先に行動をし、失敗を恐れない気持ちなどの根本を持たないと、テクニックだけでは「勝てる商品」を制作することはできません。
三つ目は、「コンセプトが必要であり、ゲームには命がある」ということ。コンセプトというものは①ゲームの軸②ゲームの面白さ、伝えたいこと③時代の変化によって変わる生き物のようなもの。思いを持てないゲームは良いゲームにはならないので、親が愛をこめてこういう子供に育ってほしいと名前を決めるように、ゲームのタイトルにもコンセプトを込めて「心」をこめたゲーム作りが大切です。
最後に四つ目は、「迷わない」ということ。迷うということは時間の無駄。“どちらを選んでも失敗してしまう”ぐらいの気概を持って、常に素早い判断を心がける。効率を上げることで、1日24時間が27時間になるように目指すことが大事です。
講義中は冗談や問いかけなども飛び交い、終始和やかな様子でした。最後に学生の「何かと似ているゲームは駄目ですか?」という質問にも、オリジナリティというものはどういうことかということを踏まえ、具体的なゲームタイトルを挙げて分かりやすくお答え頂いたり、企画書を持ってきた学生には個別にアドバイスを頂きました。
↑企画書を見ていただく学生たち。
今回のことを通して、「ゲーム企画で迷走していたので、『コンセプトをつらぬく事』という言葉でゴールが見えてきました。また0から1を作る方法、赤と白を混ぜることでピンクという別の色が出来る、これらを活かしてより良いゲームを創っていきます」「これからは色んな事に関心をもち、町や村にも自転車で走ったり、家の外に出たり、耳に入る音や目から入るものなどを真剣に考えて生活していきたい。また1つ1つに心をこめて作業をしたり、勉強していきたい」などと学生は今後のクリエイティブ活動に、大きな影響を受けたようです。
↑色紙も頂きました!なんと、カネドブーの絵柄つき!
稲船様、有難う御座いました!